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執筆者の写真鹿村文助

松本秀人(Hide)氏のラグナ検証

更新日:2023年8月6日




Hideこと松本秀人氏

私より少し先輩の世代であれば説明が要らないほどの方である



何から語ればいいか分からない崇高なレジェンドの一角であり

リアルタイムで知っていた方ではあっても私個人の思い出にHide氏の影響はほとんどない



それでもHide氏について書いてみようと思ったのは

生前のエピソードを知るほどにお世辞抜きでとても奥ゆかしい人柄であるところが大きい



ネット上で見聞できる彼の生い立ちを素地にラグナを予想していくとおそらく以下の通りだ





ラーシでは音楽の表示体である金星が2室(生来の才能)を支配してマハープルシャになり

ラグナには5室の結果である9室を支配する木星がラージャ・ヨーガの形で金星と対向する



9室12室支配で優美な芸術の表示体になる木星と音楽を意味する金星が相互アスペクトし

金星と木星が9室対7室の絡みで更にまたラージャ・ヨーガになっている



ナヴァムシャでも5室(音楽)に惑星集中が起こり9室支配の木星が9室の本質である5室に住む

その5室で定座するヨーガ・カーラカの火星に土星が絡んでなおもラージャ・ヨーガを組む

またラグナロードの月が「芸能」の3室支配の水星と星座交換さえ起こしている



間違いなく新しい時代の新しい音楽に人生を捧げるために出来してきた魂である



ラーシだけでも特異な才能が顕現した眩しいくらいの個性が完成している

それをまた強く焚きつけるのが5室11室で対向するラグナ対10室のラージャ・ヨーガである

火星と土星の相互アスペクトは筆舌できない猛威や時におぞましささえ伴うが

それはやはり一つの時代を築き上げた「X japan」という名跡の威光を切り取った一側面だ







Xjapanは美と愛などの幼さや純粋さを激しいサウンドと狂気あるヴィジュアルで表現し

その音楽的な基礎とした欧米のハードロックやパンクロックとは全く違う「孤独感」がある



今では散々もてはやされて陳腐になったスタイルだが

彼らのロックとは「忘れかけ失いそうになっている真の自分自身」を取り戻すために

この世界に敵愾心を掲げそれをレゾンデートル(生きる理由)にし自らの命を歌う意志である



彼らの重たく厳しいメークと衣装のイメージはそうした心根の奥から貫く決意の表れであり

原初のロック的価値観である「それでも俺は俺自身だ」という矜持を希薄に昇華させている



だからこそXjapanは清らかで夢想感がある優しい楽曲も多いのだ

染められず汚されないままの裸の自分をそっと見せるような儚い憧憬を描いたり

全身全霊の感情をありのまま限界まで伝えようとする覚悟が激しいサウンドで生み出される








すでにしっかりと形になったXjapanのイメージを遠巻きになぞりながら

「RustyNail」を何度か聴いたが

激烈な個性の眩しさに感じ入るばかりで

実はこの曲が失恋の悲哀を謳う詩歌であることに後々からやっと気がつき

自分の理解の浅さに急に感動が醒めたのを憶えている



私もまた彼らを知らない大人達同様に「その時代特有のイロモノ」としか思っていなかった

むしろその素直さが裏返ってしまった背反の情を叫ぶ姿こそがXjapanの心象風景である





ミュージシャン的な才能がいかほど優れているかは上述した通りだが

最も特筆すべきはラグナロードの火星が5室(音楽)支配の太陽と星座交換する所見だ



男性の惑星同士の交わりで「明確な創意」の5室が「感受・無我」の8室と影響し合う

そして8室は両隣を吉星で挟まれてシューバ・カルタリとなり

厚い吉意に彩られつつ「悟性や諦念」をもたらすケートゥが音楽性を霊妙に透過させている



J-Rockで典型的な「激情の中で自らの非業を嘆いたり未来への憧れを呟く」孤独と慕情は

Hide氏のソロ楽曲にもよく表れていて暗く危うい青春のペルソナが謳われている







この「DICE」は 

そうしたくすぶる負の忌避感と秘められた深い霊夢に眠る花のつぼみ(超自我)との対話で

憧れている自己像を探し

現実の自己から乖離した没我と虚無の中で命の陰影を描いている



実に哲学色に富んだ絶妙な美的感性を写実できている印象である



単にやかましいだけの散発的なファッションとしてのロックとはあまりに質が異なっている



悩み苦しんでいる姿がとても重たく悲痛で独特の霊格さえ滲むかのようであり

こうしたインスピレーションがHide氏のチャートを牡羊座ラグナとした根拠でもある

5室と8室が凶星で星座交換しそこにケートゥが絡まなければこれほどの抽象性は宿らない



一方で



Hide氏のラグナに住む木星はラージャ・ヨーガで逆行しており

5室と12室の両方にアスペクトが起こるかのように働く



12室には月が住み即ちガージャ・ケーサリ・ヨーガのような潜在力があるだろうし

凶星同士で成立した陰惨な険しい星座交換の火星(ラグナロード)に機能的吉意を恵んでいる



そのせいかHide氏はお構いなしのヤンチャさの中に素直さとユーモアを隠しているようだ





こんなコミックソングを書いたりするのだからHide氏は何も粗暴なだけの人ではないのだ

事実お笑いへの嗜好というのも氏は持っていたとされ好きな芸人の話をしたこともある

(往年のダウンタウンが氏の好みだったそうだ)




Hide氏の生い立ちについて




興味深いエピソードが今も伝えられるHide氏のバイオグラフィーを振り返ってみる




(Wikipediaに要約がまとめられているので以下に抜粋する)


少年時代は肥満から来るコンプレックスのため、内気で大人しい子供であった。小学生のころ、太っている生徒は休み時間校庭を走らされるという罰があり、その中にhideも入っていた。この頃、深夜ラジオでロックに出会い、「ロックミュージシャンは痩せてなくては」と、ダイエットしたという。学習塾や習いごとに忙しく通っていた。祖父の「松本家から医者を出せ」という命令もあり、卒業文集では「医者になって見離された患者さんを助けてあげたい」と綴った。


とある



この幼少期の生い立ちにチャートがどう照応しうるかが肝であった





まず単純な配置の所見から言えるのは「ラグナに住む木星」が与える肉体への影響力である

機能的に吉意だけ持った木星はラグナに住むことで本人を豊満な容貌にさせる

(なお安倍晋三元総理も同じ配置だが木星が病気の6室を支配して高揚するため痩せている)







にわかには信じられないがこの写真の少年がかつてのHide氏とされる



生まれつきの体質だったのかというとそうではないらしく

氏の生家の実母が料理好きの家庭的な女性だったためだと伝えられる






こうした境遇は

おそらく12室魚座に住む月に木星が逆行し12室から4室へ仮想アスペクトする配置に因む



母親を指す月が「自己犠牲・献身」の象意もある女性星座の魚座に住んで

ディスポジターで機能的にも吉星の木星がコンジャンクションするように働きうるためだ

( なお本来の配置では木星が7室で定座の「食べること」の2室を支配する金星に吉意を与える )



また木星が9室を支配してグル( 老師 )の象意を強めるのが牡羊座ラグナだが

それは即ち祖父母が人間的に豊かな素養を含んだ好人物であることを意味する



上記で抜粋した文献の詳述には美容院を営む祖母からの影響も指摘されている



氏の祖母は私服の趣味としてインド民族の平服のサリーを着ていたそうで

そんな稀有で優雅な祖母の影響から氏は段々と垢抜けていったようである







ラグナに9室12室支配の木星が住むことでHide氏は祖父母から良い影響を受けていたはずで

その木星が自室へ逆行する配置は祖父母に12室と魚座の持つ「外国」の象意が働く所見である



(偶然だとは思うが木星がインドの文化を指示する所見には本当に感心させられる)




ロック音楽との出会い




中学2年の頃に氏は友人からある洋楽を録音したカセットテープを受け取る

そのカセットテープから聞こえてきたのはアメリカのロックバンドKISSの楽曲だった







そこから彼は次第にロックに影響されるようになったとのことだ





マハーダシャーは意外にも水星期の最初期頃である



水星が住む射手座をラグナとすると

12室に住むケートゥとディスポジターの火星の配置が有意な所見であるが

ここで早くも火星と太陽の星座交換が氏に影響してくる



即ち9室と5室12室の星座交換であり芸術的な感性の発露と言える

獅子座の火星にはダシャーロードである水星のディスポジターの木星がアスペクトしてくる



木星は射手座から5室目(音楽)に住んでラージャ・ヨーガになるとても良好な配置だ



中学時代の友人がどの所見で指示されるかといえば

射手座から見た場合に水星が7室(学校)と10室(学校での実際の人間関係)を担ったり

本来のラグナから見た場合には水星の住む9室が11室(友人)から11室目でその本質だからだ




氏がロックと邂逅して約3年後──






氏の人生で初の本格的な音楽活動となったバンド『サーベルタイガー』へ加入したのである

( b本人は一番左 )



幼かった氏をよく知る旧友達の驚きが如何ほどだったかは推して知るべしとしか言えない



ダシャーは「水星-太陽期」の頃である

氏がここまで変貌した経験を示す配置のロジックを確かめたい





水星から見た9室と12室が凶星同士で星座交換し「悟り・覚醒」を意味するケートゥが絡む

私生活で氏はどんどん内向し隠れた激情に染まって自我を洗い替えていったようである



水星をラグナとすると

この時に獅子座に住む火星には対向3室から定座した土星がアスペクトし実践力を授け

5室でラージャ・ヨーガとなった木星が溢れんばかりの音楽的才能を火星にもたらした

その木星にも土星が3室目のアスペクトを与えて創作活動としての音楽が結実している



3室と5室と9室という「表現と人間的成長」に影響する全てのハウスが絡んでいた時期だった



吉星の木星以上に太陽と火星と土星が関わってしまった配置が氏を別人にさせたのである



(なおこの頃に氏が幼少期とは見違えて痩せたのも

射手座から見た土星が「食欲」の2室を支配して「忍耐・努力」の3室で定座する配置だからだ)



バンド『サーベルタイガー』のライブパフォーマンスは鋭利なバイオレンスを志向しており

ステージ上で間奏時に氏は鶏や豚の骨付き肉を貪り食う姿を見せつけたそうだ

(私の邪推だがこれは英国の初期ハードロックバンドのブラックサバスの真似だと思われる)




XjapanのYOSHIKI氏との出会い




氏はその後に同バンドのリーダーになっていた

着実にライブ実績を積み重ね活動範囲を東京へと伸ばし始めていた頃に

氏は知人に誘われとある同世代のアマチュアロックバンドのライブを観覧する






後 の X j a p a n で あ る

(この当時はまだ正式名が「X」のままだった)



ここでYOSHIKI氏と知己を得たHide氏は当初

「自分のバンド( サーベルタイガー )に彼を誘おう」と考えYOSHIKI氏も逆に同じ考えだった



当然お互いの目的は叶わなかったが後の正式加入の途上にHide氏は踏み込んでいった

YOSHIKI氏との交友を快い励みとしてHide氏はサーベルタイガーの活動に熱を入れていた



しかしその思いを裏切るようにベストメンバーだったサーベルタイガーは1名の脱退から

解散へと向かう結果になった──1987年のことである



Hide氏はもちろんそれをきっかけに音楽活動からの卒業を決断した

祖母の経営していた美容院で働いた下積み経験を基礎に氏は美容師として独立を考えていた

(この氏の特性を裏付けるのはやはり9室から3室へアスペクトバックする水星である)

(3室は手指を用いた技芸といった象意もあり楽器の演奏や微細な手工芸を意味している)



それを引き留めたのが言うまでもなくかのYOSHIKI氏である







ここでYOSHIKI氏の仮のラーシ・チャートとHide氏のラーシ・チャートを対比してみたい





ラグナはまだまだ特定できないのでここでは両名の月の位置関係で相性を確かめる





まず互いの月が向かい合ってアスペクト出来る配置になり水入らずな友人になれる所見だ



また

YOSHIKI氏もHide氏も木星が逆行しているが

その逆行の妙が両名に良い影響を与える結果になっているようである




木星は1室手前からもアスペクトできる所見になり

Hide氏の木星は定座となって強い状態でYOSHIKI氏の月に吉意を与え

YOSHIKI氏の木星もHide氏の蠍座に定座するように伏在する星座交換の火星と向かい合う



とても理想的でお互い言い争いなどほとんどないような奇跡の相性が成り立っている






こうして1987年にHide氏はXjapanの正式メンバーとなった




ファンや子供と本気で向き合う9室支配の木星の効用




Hide氏のラグナが牡羊座であると確信できた大きな理由となるエピソードは有名である







ファン歴の長かった貴志真由子氏という少女が

GM1ガングリオシドーシスなる発症例の極少だった難病となった



同難病とは要約すると糖分や脂質が脳と内臓に残留したまま生理機能を阻害する疾病だ

進行すると身体が動かしにくくなり発音障害も伴い会話が難しくなったりする



病が進んで行く中

有効な治療には骨髄移植が不可欠で彼女の実姉の骨髄移植の手術が行われることとなった



彼女の存在を知ったHide氏は彼女の下へすぐに駆け付けた

氏は自身が身に着けていた衣装の一部であるファッションリング(指輪)をプレゼントし

容態のままならない彼女に向けガラス越しに「早く良くなんだぞ」と心からの声援を送った







少なくとも私はここまで純粋にファン思いなエピソードがあるミュージシャンを知らない

彼は自分本位なだけのロックアーティストではなかった



本当に尊敬できる人だと素直に思う



おそらくこうした彼の善良な理性はラグナの牡羊座に住む9室支配の逆行木星で示される

5室に住んだラグナロードの火星とその火星に絡んだ太陽に木星がアスペクトするからだ



本人自身を指すラグナロードと成人後の社会的な本人を指す太陽が強い吉意を受けている

牡羊座ラグナでなければきっとHide氏はもう少し違った性格で違った人生を送っただろう



また一方で氏の11室水瓶座には土星が定座するせいか

90年代当時ではかなり最先端だったファンとのPC交信(今で言うチャット)を好んだという



この定座する土星がラグナに住む木星にアスペクトする配置もまた

非日常なミュージシャンでありながら常識人としての感覚を氏に終生まで持たせ続けたのだ




原因が分かっていない突然の逝去




そして1998年5月2日──

本当に誰もが想像できなかった「旅立ちの日」がやって来た



5月2日朝7時30分頃、hideは自宅マンション寝室のドアノブに掛けたタオルで首を吊った状態で発見された。その後、病院に搬送されたが午前8時52分に死亡が確認された。


この事実については今でも私見を述べるファンサイトが数多ある



氏の逝去の直前頃のトランジットを確認しておく





ラグナに11室(強い暴力・重い傷病)支配の土星や8室(不慮の災難)支配の火星が到来していた

またそもそも火星は6室の表示体で土星は8室の表示体である



水瓶座に対しても12室の表示体のケートゥがトランジットしていたが

土星は11室を支配して水瓶座に定座している



他方でダシャーは





「ケートゥ-土星-火星期」だった





ケートゥをラグナとするとディスポジターでダシャーロードの火星が6室(怪我)を支配して

機能的凶星となった土星と10室対4室で対向していた



独りきりとなった部屋の中で起こった不慮の出来事が広く社会に知られる配置となっている



今になり分かることだが本当にダシャーとトランジットは嘘をつかないと言う他ない



私ももう少し早く生まれていたら本願寺で営まれた氏の別れの儀に出向いていただろう

Hide氏ファン各位の末永いご健勝を心より祈念申し上げます







以上

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