木星期になって気付けば8ヶ月が経ってしまった
半年を通したあたりまではそこそこの木星的体感の漸進があったのだが
7ヶ月目からはボンヤリ間延びした平穏感に包まれて自分にとっては後退でしかなかった
しかしやはりこれは有意な変容の途上だと思えることでもあった
ダシャーラグナから見てラグナロードが8室や12室に絡んで強くなるかららしい
木星をラグナにするとラーシの水星は8室を支配して5室で定座し
ナヴァムシャは12室で星座交換して高揚同等の強さになる
水星はプラティアンタルダシャーで時局が小規模な即席のバイオリズムだからか
ナヴァムシャは金星と交わり高揚のラーフが伴うので狂乱状態になるはずだが何ともない
ラーシの方で木星が直に水星へアスペクトする配置はどうやらナヴァムシャに勝るらしく
水瓶座から見て水星は5室8室支配で8室が吉意の働きになり木星に守られて「安堵感」になる
おかげで私はボンヤリとして感情が希薄なまま日々を過ごすことになり
良く言えば平和だが悪く言えば「何をしても手応えがなく楽しいことが見当たらない」のだ
このままでは “ どうにか ” なってしまいそうでいよいよ怖くなってしまった
今やジョーティッシュは食べることや寝ることと同じなので当たり前に続くものだが
太陽がラーシで12室を支配して強くなり逆にナヴァムシャで3室を支配して減衰するので
私には世間にとっての「普通」(≒太陽の象意)は次第にただの退屈な習慣のようになっていく
出来ていないことにチャレンジしようにも限られた時間で新しい趣味を始めれば
せっかくのジョーティッシュが手つかずになる
そのことでモヤモヤと悩みながら週末の今日も公休の自社本部の事務所へと休日出社し
「何をしたらいいのかなぁ」と自前のデスクを整理整頓していると
ハタ迷惑な相手から電話がかかってきた
(またコイツです)
今年のGWは誰とも会わずに過ごしていたがこの「構ってちゃん」は
私が電話に全く触れずにいるのも無遠慮にショートメールを送って来ていた
お互いのバイオリズムが合わないので昔からそういったことはよくあった
「形だけでも詫びておこうか」と私は着信に応じた
用件としては
コロナ禍以前に私が好きでよく観劇していた都内の劇団に相方を連れ出したことで
本人もメールアドレスをアンケートに書いており同劇団から新規公演の連絡が来たので
「二人で行こうぜ」という呼びかけをしたかったようだ
私はその場で電話をスピーカーにして仕事用のPCからメールを検索し
2名分の予約をすぐに申し込んだ
それからは随分と冗長にダベり続けて通話時間は優に90分を超えていた
連休中に彼は私に「(私の地元町に来ているから)会わないか」と連絡してきた
なぜその日その時に私の地元にいたのかを尋ねると
「婚活中の相手と簡単なお茶の席を済ませた後だった」とのことだ
途端に私は不躾な色気が出てきて根掘り葉掘りの尋問を繰り広げてしまった
彼は現在3名のお相手とマッチング中で
その中の一人がなかなかにご立派なステータスの女性だった
その方は都内23区の都心に在住の女医だというからすごい
話を聞きながら彼のチャートを眺めて私は思わず膝を叩いた
まさにそのお相手こそ彼の成婚者になる可能性が極めて高い
彼の7室をラグナにして仮想チャートにしたことが実は初めてだった
しかしこうしてその所見を眺めるにつけジワジワと見事な合致ぶりが得心を促してくる
彼は牡羊座ラグナでナチュラルゾディアックがそのまま働くので
6室は「傷病」を意味した乙女座でつまりは乙女座に金星が絡むと医療従事者の女性を指す
7室をラグナにした時の12室(6室)は「メス」や医療行為を意味するケートゥが住み
それはオペをしたり医務室で事細かなクランケへの処置を考慮している姿を象徴している
また天秤座から5室目に住む木星は「手先(3室)を使った独特な才能」を示し
それがラグナにアスペクトして水瓶座らしい近現代の技術(医業)を本人の素養にする予兆だ
特に笑ってしまうほど素晴らしかったのは
7室から見た10室支配の月が「性別・年齢と無関係な多くの人々」という象意を持った所見だ
それが天秤座から7室目に住むのはありとあらゆる相手(≒患者)と接する職業を意味している
ラグナに住んで減衰する太陽は11室の支配星であり多くの医師がそうであるように
「名誉など無視して目の前の仕事に全力で応じる」という高潔な覚悟を現していると読める
やはり医師というのは一人きりで黙々と実務の内訳を思案し続ける立場であり
即ちラグナでディグバラになった水星や定座しつつ減衰の星座へ逆行する金星で表意される
水星もラグナロードの金星もケートゥの住む12室へ逆行し水星は高揚する
天秤座がラグナになると水星は9室を支配した最良な機能的吉星なので
その水星が高揚してケートゥがディスポジターとコンジャンクションする仮想の配置は
おそらく医師として実直な責任と技能を体現して見せる尊い医業の本分を意味している
そして彼と再び会話して分かったのは
以前よりも彼が精神的にちゃんと成長した一個の大人になれていた様子である
4年程前に私は彼に誘われて一緒に映画を観た
賛否両論の雨アラレだったあの「BLEACH」の実写作品である
鑑賞後の感想はさておき
その後に私は彼の「何か食べたい」というリクエストに応じてムサい男二人で食事を取った
今のように彼が婚活し始めたのはその頃からだった
私は彼がその性格からは考えられないような「結婚してみたい」という思いを初めて耳にし
居ても立ってもいられない憤激の情で周囲の眼も顧みずに彼を数十分ほど叱責した
生誕時に満月で度数が若く他の分割図でも月がヴァルゴッタマの温厚過ぎる友人
彼は早い話が「静かで平和な家庭に生まれ大きな不幸もなく育ったお坊ちゃん」そのものだ
自分にも他人にも興味がなく子供の頃からの好き嫌いも治せないまま自由に生きている
7室で減衰する5室支配の太陽や逆行して減衰する金星が人間性の希薄さを示している
彼を一言で表現すれば「一人っ子で生まれたせいで異性への理想が高すぎる男性」である
しかもその理想はあまりにも青臭く “ 普通の ” 女性からしたら噴飯ものの憐れな憧れだ
例えば彼の異性に対する合格最低点の水準は以下のようなエピソードで示される
友人T 「最近になって興味があった有村架純の映画を観たのよ」
私「あぁそうかそうか でもそれはどうして?」
友人T 「(少し恥ずかしげに)いやさぁ あの子そこそこ好みだったけど結局は違ったなぁって」
私 「・・・何が違うの??」
友人T 「声が今一つ美人じゃなくてね」
こんなやり取りをお互い三十路過ぎで交わしている
俺はどうしてこんな「しょーもない奴」と友達でいるんだろうという呆れ切った思いである
母親以外の女性とは深く関わったこともなく何であれ受け身のままの性格で
女性に急に興味が出て男性向けの元気で何よりなお店に行っても結局はすぐ帰ってしまう
そんな男の彼が結婚したいと言うのである
女性と結びつくことが彼にとって不快で気持ちが悪いというエピソードは
すでに前回に投稿した記事で触れている
それでも彼が異性とそれなりの関係になりたいのは
彼のナヴァムシャで8室に住んだ月がヴァルゴッタマだからだ
月は本人の心そのものを意味すると共に幅広い様々な女性も指示しているからである
彼の結婚観は私からするとかなり冷淡で変わっている
そのものズバリ「老後までには子供の一人くらい設けておかないと不安だから」だそうだ
全く突飛で面白い
彼はどちらかというと独りで気楽に過ごすことが幸せだと思う質だが
年を取り孤独になってしまうことが怖いと言う
やはり8室でヴァルゴッタマの月が彼をそうさせているようだ
「こんな自分には何も残せない」と無意識に自らの劣等さを理解しているとも言える
4年前の私は彼のそうした自分本位な我が儘さに心の間欠泉が怒りを吹き上げた
平凡なままでただ優しいだけの童貞男が遠い老後のために女性を利用したいという根性
私もその時ばかりは彼の卑しさに耐え切れずまるでフェミニストのように憤激し切っていた
幸か不幸か彼は学校教師の母親に叱られたこともなく可愛がられて育ってしまった男だ
私は下劣で尊敬など死んでもできない男を父に持ち
その父は自分から生まれてきた実の幼い娘を遠慮せず力いっぱい殴る醜い鬼畜だった
私の世代ならどんな女性でもそうした経験の大なり小なりは抱えて大人になるものだ
彼にはそれが結局は分からないのである
私は久しぶりに会社でも見せないくらい本当の自分を剥き出しにした
彼は食事もほどほどにしっかりと私の目の前で困っていた
女性から気に入られたり良い印象を持たれるだけの努力もせず
服装の趣味も高校生の時と同じで酒も飲めずスポーツも大して出来ないような
ただただ「優しくてイイ人」の彼がちゃんと女性とデートもしたことがないまま
手前勝手な理想を語っていることが個人的にも許せなかったからだ
もちろん他にも理由はあった
彼は生まれつき余りにも無欲でマイペースな性格のため収入のほとんどが貯蓄に出来ていた
このままではきっと彼は狡猾なだけのズルい女性の喰いものにされる
だから私は彼のためを思って
30分弱は全く容赦の無い人格否定をあらゆる言葉で彼にぶつけた
それから4年弱が経ちこうして会話していると彼は意外にもちゃんとした大人になっていた
私が改めてジョーティッシュの知識から彼の結婚後の生活をそれなりに厳しく評価すると
「そんなのは百も千も承知だよ」とやや強がり気味な答えが返ってきた
D7は金星が5室へ逆行してラージャ・ヨーガになり木星がアスペクトバックする
彼は早ければ来年の春頃には父親になれている
そうでなければ月と土星と木星が揃ってアスペクトする来年の年末頃に子供が出来ている
しかし見て分かる通り彼には異性との交接が苦しくてたまらないのである
この配置を見るたび「きっと結婚したくないんだろうな」と思うのだが
彼はそのねじれ切った不思議な価値観で結婚への決意を語って聞かせる
「それでもいいなら結婚しな」と私はやや冷たく彼を突き放した
こうした会話で私が学んだのは占い師に求められる対話術の難しさである
思うに無能な占い師は何もかも隠さずに相談者の弱点を核心まで抉り続ける
この前に亡くなった某女性占い師のように「仕方のない」相手を打ちのめすやり方だ
この90分ほどの会話で私が分かったのは
やはり以前に比べて「自分が随分と無欲になっている」ことだった
以前なら私はもっともっと感情的になり
6室的な態度で彼を糞味噌にブッ潰していたはずである
今回のやり取りで私は少しだけ占い師志望の者として前進した気がした
自分の感情がイチイチ顔を出さないようになったからだ
私は最後に彼へ「お前のおかげで私は前進しているように思うよ」と感謝の言葉を伝えた
持つべきものは友である
彼が居なかったら私は自分のジョーティシャーとしての未来が曖昧なままだった
私は自分が死んでしまわないうちは彼を許し最大限にその生き様を愛してやりたい
誰かに迷惑をかけてきたほどの人生ではないのだからこそ私の友人なのだ
友達でいてくれてありがとう
きっとお前を裏切らずに私は何度でも未来のために沢山の勉強をし続けるよ
以上
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