まずはこちらの動画をご視聴いただきたい(できれば最後まで)
なかなかラフな手作り感のあるサウンドだが渋く陰気な色気があり自然と耳に残る
あまり洗練されていないがためにストレートに個性が感じられて粒立ちが心地よい
ヴォーカルのイアンの鬼気迫る異様なアクトが凄まじい
なぜもっと早く彼らに出会っていなかったんだろうと私は少しだけ口惜しかった
3年程前──
その頃はコロナのコの字もなく世間はとある世界的ロックバンドの伝記映画に沸いていた
万感の期待に応えるべく製作された『ボヘミアン・ラプソディー』である
私が幼い頃にQueenを率いたフレディがエイズで逝去しバンドは事実上の解散となった
何となく知っているだけだった彼らを改めて学ぶ機会が不意にやってきた時だった
私自身はこの映画を真剣に観た訳ではないが
今も共に実家暮らしの姉が洋楽を好み出した頃であり
SNS経由でこの映画に前後してよくQueenを聴いたり彼らの特集番組を観たりしていた
(実姉のマハーダシャーは金星期に移って数ヶ月目の頃であり「音楽」の象意が現れたようだ)
私はといえば鬱病とその治療の後遺障害(離脱症)がようやく癒えた2015年から数年を経たが
やっと鬱病前の心的感応の繊細さが戻ってきたため洋楽を含め色々と音楽を聴き出していた
その当時のダシャーは「ラーフ-金星期」を終えた頃で
ラーフの意味する外国と金星が担う音楽の象意が特に旧世代の有名な洋楽への指向を与えた
私はビートルズ隆盛後の70年代のブリティッシュロックやUKポップが好きになっていた
(後からジョーティッシュの知識として一つの奇遇に出くわし驚きつつ確信したが
ラーシで私のラーフが住む牡羊座はイギリスのマンデン・チャートのラグナである)
鬱病に苦しむ一方で
実母が強いた鬼畜の所業で普通自動車免許を命がけで取得した経験談は
すでに記事として書いているが
その時期の私は「ラーフ-水星期」の半ば位であり
ナヴァムシャでは12室でその水星がラーフとコンジャンクションし金星と星座交換している
その頃の私は運転免許も取れて安堵し切って引きこもり生活に入り浸り
食事するよりも四六時中の飲酒で心身をスポイルさせ忘我の用に供する音楽を聴き散らした
私が最も楽しく最も惨めだった頃である(もちろん無業者として実母の脛をかじっていた)
その時にはよく聴いていた洋楽というとKISSだったりしたが
何かしらの趣向の変遷で気がつくとDeepPurpleやBlackSabbathなどに辿り着いていた
鬱がすっかり治まってからも私はWhiteSnakeやRainbowやロッド・スチュワートに親しみ
A型インフルエンザにかかって会社をドタキャン休みした時もAlcatrazzに聴き入っていた
健全な脳(皮肉)が抗鬱剤の洗礼を浴びまくったせいか私は刹那じみた激越な音楽の虜だった
どこにでも居るくたびれたド陰キャ野郎はこうして自ら不穏な前衛作品へと変わり果てた
(ちなみに今ではThe Clashもよく聴いております)
(クンクン(; ̄y ̄)c●~~……このブログくっせえなぁ)
閑 話 休 題
イアン・カーティスは
1956年7月15日にイギリス本島の旧チェシャ―州マックルズフィールドで出生した
容貌や声からも分かる通り彼は生まれつき大人しく賢い性格の文化的な少年だった
密かに音楽に親しみ高校時代はプロに憧れ21歳の頃には有志でアマチュアバンドを結成した
後のJoy Divisionである
(左からドラムのスティーブン , ボーカルのイアン , ギターのバーナード , ベースのピーター)
ラフで素朴ながらやたら物語性のあるビビッドなフレーズを次々と生み出し
手弁当な異彩が超絶に不況だった当時のイギリスで新しい個性と見なされ人気を獲得した
このスナップからも伺えるように彼らはしみじみ庶民的でありそれほどロックではないのだ
しかし彼らのサウンドは劇的な心象風景を不意に掴んで見せつけるかのような優美さがある
(「Disorder」・・・個人的に最も鮮やかでDopeな一曲)
大体の曲がそのテーマをドラマチックに凝縮できている
ネガティブな曲は随分とヘビーで聴きづらくポジティブな曲は情景が視えるほど可憐である
その絶妙な狭間をテンポよく行き来して音楽性をブラッシュアップしていったのが分かる
時間のある読者諸氏はこちらもどうぞ
さて
この写真では特に四人四様の個性が伝わってくるが
たまにイアンは集中できているとこのように異様な眼力で射貫くような表情を見せる
この「心の最奥の闇から世界を見つめている」ような眼差しに
彼のラグナを特定する糸口がありそうだ
彼をすでに存知の諸兄にはくどい話だがイアンは23歳にして自らその成功した人生を閉じた
その事実も踏まえて自己流に彼のチャートを検討した結果が以下の通りである
ラーシでは生来的吉星が定座したりディグバラで強くいずれも3室(歌唱)と5室(音楽)に絡む
ナヴァムシャはラグナロードの水星が音楽の表示体の金星と星座交換しラージャ・ヨーガだ
ナヴァムシャの配置は全体としてあまり有意なコンディションではないが
ラグナで3室(パフォーマンス)支配の太陽が7室10室支配の木星とコンジャンクションして
権威と品格をもたらすスーリヤ・グル・ヨーガとなり木星はアスペクトバックする
この時にラグナでは3室対10室の絡みが完成し「音楽活動」へのコミットメントが伺える
(ラーシも同様で10室でマハープルシャの金星は3室を支配する甘美な芸能の星である)
太陽はヴァルゴッタマで高揚並みに強く
ラーシのラグナロードで11室在住という強みをより堅く盤石にしている
またラグナにダブルトランジットも生じており徐々にアイデンティティが成長する境遇だ
イアンの決して明るくない素顔の感情を吐露した低音の歌唱は
ラーシで3室に住む月へ6室支配の土星が逆行して高揚同等に振舞うせいだろうし
ナヴァムシャでも6室でヴァルゴッタマのラーフに減衰の月が傷つけられ吉意の保護はなく
2室に吉凶の不安定な土星が住んでラグナをパーパ・カルタリにしている配置が考えられる
ラグナには機能的吉星の木星が住むため温厚で大人しいが
その木星と対向する火星は土星と星座交換しヨーガ・カーラカとしての品位が損なわれる
またその土星にコンジャンクションするラーフ(とケートゥ)は
減衰する配置でありながらヴァルゴッタマであり
劣等感のような内向した鬱屈感情をだんだんと育ててしまう因業な所見である
当時の実の彼をよく知っていたメンバーの回想から語られるその人物像は以下の通りだ
(Wikipediaより抜粋)
重要な記述として
気性の差が激しく、実生活でも、普段は穏やかで優しく、礼儀正しいが、突如逆上して激情を露わにすることがあった。てんかんの治療で大量の投薬を受けるようになってから、とくに躁鬱の差が激しくなり、バーナード・サムナーは、てんかんの薬が結果的に精神状態に悪影響を及ぼしたのではないかと指摘している
とされる(原文ママ)
また
デビュー後2年ほどしてライブ集客が思った以上に過少だったことを悲観し
帰途でてんかん発作を起こしそれが持病となったエピソードはむしろ彼の一側面でもあるが
下記のラーシ・チャート上で起こる火星と土星の星座交換がその所見となっている
逆行した土星が「情緒・品性」の4室でヴァルゴッタマのラーフとコンジャンクションし
なおかつ10室でケートゥと定座の金星を強く傷つけている
それだけでも底なし沼のような仄暗い不安感が彼を支配していたのが分かる
幸か不幸か
火星と土星の星座交換は月から見て2室(声)と5室(音楽)が絡む有意な相関である
獅子座ラグナでは火星が良好なラージャ・ヨーガ・カーラカだが
その火星と6室(病気)支配の土星が最も深く絡んでしまうことで
無意識な人間性を司る4室9室が侵害され
なおも身体部位では頭部や大脳の表示体となる牡羊座の象意が致命的に傷つくため
結果的にイアンは精神失調となり脳の生理機能に疾病を来し「てんかん」という異常を抱えた
またプロデビュー前の彼の職業は広範な障碍者のための職業安定所の職員であり
それはナヴァムシャにおいて
4室も支配するラグナロードの水星と12室支配の金星が星座交換する配置からも
4室と12室という知的精神性を担うモクシャハウスを吉星が支配する条件で表意されている
(またラグナに住む木星が7室10室支配で太陽とコンジャンクションする配置は
多くの対話者に施しを与えようと善処する公務員としての姿を意味すると判断できる)
そして彼のラグナ特定でとても有意な根拠となったのが早婚の経験である
彼は高校時代からの同級生だったデボラ氏と成人前に結婚している
ラグナが獅子座で正しければ月のナクシャトラは火星の支配するチトラーとなり
マハーダシャーは火星期から始まるが
ナクシャトラのパダが終端に近いため彼の人生はほぼラーフ期から始まっている
その場合に彼は19歳で早々と木星期を迎えるため
ラーシとナヴァムシャの両方でラグナ(7室から7室目で7室の本質)に住む木星が
実り豊かな恋愛と結婚の幸福を彼に与えたと読める
特にナヴァムシャは木星が7室を支配する双子座ラグナであり
7室へアスペクトバックする吉意強調の理想的な配置となっており
ナヴァムシャのラグナ判断から順当に逆算しラーシを獅子座ラグナと見込んだ
また結婚と同等にかなり重要なダシャーと分割図の同定に役立ったのが実子の生誕である
1979年4月に長女ナタリーが生まれており
その9ヶ月ないし10ヶ月前のダシャーは「木星-土星-金星期」であり
イアン自身の出生時刻をAM8:45と仮定した場合にサプタムシャは上記の配置となる
土星は5室を支配して9室でそのまま定座する金星とコンジャンクションし
子供の表示体である木星がラグナから9室目のアスペクトを与える
サプタムシャがこの位置関係になるには
イアン本人の出生時刻が8:51の終わり頃までとなるべきだったので
その判断から逆算的に仮の証明を延伸した結果上述したようにラーシが獅子座ラグナとなる
ここでこの検証の論説を終えてしまえばなかなかによろしい美談で済むが
イアンの人間的な陰影を正しく吟ずるには
もう一つ後世に残された逸話である「不倫」(と言われている)に触れなければならない
不 倫 問 題 の 真 偽
1979年6月にJoyDivision初のアルバム『アンノウン・プレジャーズ』をリリースし
同年10月にはベルギーでのコンピレーションイベントに出演したが
その興行を主催した女性音楽プロモーターのアニック・オノレとイアンは懇意になった
アニック・オノレ氏
この関係が現在では確実に「不倫だった」とイアンの妻デボラ氏を含めそう評価されている
当時のイアンのダシャーを確認すると──
「木星-土星期」の最終盤である
木星がラグナに住むのでラーシ・チャートそのままの配置を読めばよい
つまり木星から4室目と7室目で生じる星座交換の影響と判断して問題ないようだ
確かに7室と9室の星座交換であり「知的な喜びのある出会いと交友」といった経験である
そこに6室(格下の相手・愛人)といった象意も混ざり込むので
一応はイアンにとって一方的な情感を注ぐような関係だったとも言える
月から改めて確かめると5室と7室の絡みであり
また本来の配置そのままでも4室の本質である7室の象意が実現する星座交換となり
「旅先で心身が満たされるような感動」(7室は遠方の地や外国の象意もある)を意味する
この絡み合いが火星土星ではなく吉星同士であれば間違いなく深い情事を交わしただろうが
凶星であるために深謀遠慮に貫かれた礼儀ありきの関係になってしまうし
土星には減衰してヴァルゴッタマになるラーフ・ケートゥ軸が重なり悲痛な傷を受けている
イアンとオノレ氏の実際の関係は下記の記事に伝えられる通りだったようだ
同記事の巻末でオノレ氏が吐露した事実としては
「二人の関係は完全に純粋でプラトニックなもので、まるで子供のような、純潔なものだったのです。わたしはイアンとは肉体関係を持ちませんでした。イアンは薬物療法を受けていましたし、そのせいで肉体関係には至らなかったのです。わたしの言っていることやイアンの書き残したことをみんなが信じようとしないことが本当に腹が立ってしようがありません。誰になんと言われようとも構いませんが、イアンから手紙の数々を残してもらったのはわたしなんですから......」
ということである
イアンのラーシ・チャートにおいて
7室在住で4室支配の火星とラグナに住む5室支配の木星は相互アスペクトするので
異性との交流自体が品性と友愛心で育っていく清純な関係になりやすい
イアンは理性と激情が混濁しがちな性分だったが普段の彼はまずまず理性的だったはずだ
どうやら巷でよく言われてきたような一線を越えた下衆な交わりではなかったようである
衝 撃 の 自 死
1980年5月18日に彼は自らの生涯を閉じてしまった
バンド結成から3年ほどの鮮烈な名声の中での突然の死だった
プラティアンタルダシャーがケートゥ期に入る直前のことである
人生の深層部であるナヴァムシャではラグナロードの水星が12室支配の金星と星座交換し
水星はラグナに住む木星のディスポジターとなる相関のため
ケートゥのディスポジターも金星であればプラティアンタルダシャーの時運は無意味だろう
一足飛びに考えればナヴァムシャの木星はそもそもケートゥの影響下にあったと言える
ケートゥは「人の死」を表意し12室の表示体であり12室に住むことで象意の実現が増大しうる
ラグナロードの水星とケートゥのディスポジターが12室支配の金星である配置が
おそらくは彼に死をもたらしたと思われる
彼が自決を覚悟する前日のトランジットを視て思わず息を呑む
イアンのラグナにトランジットが惑星集中し7室にダブルトランジットが起こって
7室の方にはケートゥがトランジットしている
イアンのラーシは4室7室が星座交換することで
イアンの7室水瓶座には7室支配の土星が住むかのような影響がある
7室とはマラカハウス( 死のハウス )で
土星もまた8室や12室の表示体である
マラカの7室に土星とケートゥが重なり合うことで
彼は不意に旅立ってしまったのである
全く悔しいことだが誰もみなカルマの筋書きを演じる幻に過ぎないのかも知れない
イ ア ン ・ カ ー テ ィ ス よ 永 遠 な れ
以上
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